離婚届を勝手に提出されてしまったら地獄が待っていた
離婚届を勝手に出されないためには、あらかじめ離婚届不受理の申出をしておく必要があります。
しかし・・・この不受理の申出を忘れてしまったら、どうなってしまうのでしょうか?
もちろん、夫婦の一方が他方の同意を得ないで、勝手に離婚届を提出することは犯罪です。
偽造罪等の構成要件に該当はしますが、証拠不十分で捜査機関が捜査かったり、区役所等が被害者として協力してくれなかったり、公判を維持できないとして検察官が起訴をしないケースなど、実際に刑罰が科されるようなケースはそれほど多くはありません(もちろん、なくはないですが。。。)。
犯罪には当たるとしても、夫婦関係が破綻をきたして、めちゃくちゃになっていたり、不倫やDVなどに至っているような場合には、犯罪に当たるから捕まったり、罰せられるかも?という気持ちがかならずしも抑止力になりません。
つまり、不倫など、もともと不法行為を行うような相手ですから、離婚届くらいあまり深く考えずに、勝手に提出してしまうことも多いでしょう。
同意があった。妻と事前に話し合った結果、離婚届を出すだけの状態だった。そういった状態と、犯罪との線引きはけっこう立証が大変です。
刑事裁判では「疑わしきは被告人の利益に」ということで、民事裁判などに比べて、厳格な証明が求められます。間違っても無罪の人間を有罪にしてはいけないからです。
じゃあどうすればいいの!?
では、勝手に離婚届を出されてしまい、配偶者がほかの異性と結婚していたような場合、泣き寝入りするしかなく、どうしようもないのでしょうか?
そんなはずはありません。
ただ、、戸籍上、離婚となってしまったものを元に戻すのには、以下のような長い長い戦いを強いられることになってしまうのです。
精神的、体力的、時間的、金銭的に消耗してしまいます。
勝手に離婚届を出されてしまったら
- 家庭裁判所に調停を申し立てる
- 調停で話がつかなければ裁判をする
この2つをしなければいけません。
経験者の人は分かると思いますが、これが大変なのです。
もう少し具体的に言うと
1 協議離婚無効確認の調停を申し立てて
→話し合いがうまくいき家事事件手続法277条の合意に相当する審判
→審判書を受け取った当事者双方が不服を申し立てない=離婚が無効と確定
→話し合いがうまくいかず調停不成立等
→2=裁判する必要
しかも、仮に調停や裁判で協議離婚無効を勝ち取っても、今度は重婚状態になっている結婚相手も相手にして婚姻取消しの調停を申し立てないと、重婚状態が解消されないのです。。
それでは 1 協議離婚無効確認の調停を申し立てる から見てみましょう。
いったいどこで?
まず、家庭裁判所に調停を申し立てるのですが、調停は当事者間の合意がない限り、「相手方の住所地」が管轄となるのです。
(管轄等)家事事件手続法第245条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。
管轄というのはどこの裁判所に申し立てるべきかという基準です。
全国にたくさんある裁判所の中から、どこの裁判所に申し立てなければいけないのか?
そういうったことを定めたルールを「管轄」といいます。
相手方と合意ができていればその合意に基づいて好きな場所の裁判所に申し立ててそこで調停をすることができます。
たとえば申立人が東北に住んでいて、相手方が九州に住んでいても、お互い毎月のように仕事で東京に行くから、東京の家庭裁判所で調停をしようという合意が申し立て時点でされていれば、東京の家庭裁判所が管轄地になります。
しかしですよ?
勝手に離婚届を区役所に提出してしまうような人間と管轄について合意など事前にできるでしょうか?
勝手に離婚届を提出されてしまったような場合の多くは管轄合意がない状態で調停を申し立てることになります。
この管轄が、調停の場合は、自分の住所地ではなく、相手方の住所地の裁判所なのです。
例えば、東北に住んでいても、相手方が九州に住んでいたら、九州の裁判所に申し立てなければいけないのです。遠いですよね?
もちろん調停の申し立て自体は郵送でもできますが、実際に調停の期日が指定されれば、基本的には出席するために遠くても相手方の住所地にある裁判所に行かなければいけません。
勝手に離婚届を出されてしまうような夫婦仲です。
別居期間が長いケースも多いでしょう。
配偶者に内緒で配偶者に見つからないような場所に転居しているようなケースも多いでしょう。
つまり、家庭裁判所に申し立てるようなケースというのは遠方に住んでいるケースも多いのです。
合意に相当する審判って?
(合意に相当する審判の対象及び要件)第277条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。
一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
つまり合意が成立した調停のその日が離婚成立日になります。
しかし、協議離婚無効確認や婚姻取消、認知などの類型の調停は、家事事件手続法277条の合意に相当する審判をする必要があるのです。
その審判が確定するためには、基本的には当事者双方に審判書が届いてから不服申し立て期間の2週間を待つことになります。
裁判はどう違うの?
調停は、まだいいです。
弁護士がいなくても、調停に出席している人はたくさんいます。
でも・・・・調停で不成立となったら、協議離婚無効の訴えという裁判を提起するしかありません。
幸い、この裁判(人事訴訟)は、管轄は相手方の住所地ではなく、当事者の住所地、つまり申立人(原告)か相手方(被告)のどちらかの住所地でよいことになっています。
(人事に関する訴えの管轄)人事訴訟法第4条 人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
そのため、調停のように遠方の裁判所に申し立てる必要はありません。
しかし、調停とちがって、裁判は、弁護士に頼まないとなかなか大変です。
調停と違い裁判では、自分の主張を裏付けるための立証をしなければいけないのです。
筆跡鑑定だけでなく、証人尋問をしなければいけないことも多いでしょう。
代理人として法廷に立つことが弁護士でもない人が、証人尋問を経験する、それだけで大変なのに、探偵にお願いしたりして証拠を集めたりしなければいけないのです。
そこまでお金と時間と労力を使って、精神的肉体的にヘトヘトになってようやく協議離婚無効を勝ち取る必要があるわけです。
子供がいる場合は、子供のためにも戦わなければいけません。
てきとう
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